炎立つ

講談社文庫、高橋克彦作、全五巻。
平安時代奥州藤原氏の興亡を描いた歴史小説。三部構成で、一部は藤原氏の祖・経清と前九年の役、二部は清衡と後三年の役、三部は泰衡と源平合戦がメイン。平成5年から6年の、NHK大河ドラマの原作でもある。
自分の価値観を変えてくれた作品。これ以降、歴史というものを敗者側に近い視点から見るようになった。作品の舞台を見てみたくて、電車で東北地方をぐるっと一回りしたこともある。*1
文章量の大半が登場人物たちの台詞で占められているのが特徴的。マンガや脚本のト書きを見ているような感覚で読める。文章の*2癖さえ気にならなければ、歴史ものに興味のない人でも読めるかも。
ドラゴンマークで歴史の敗者側の立場に立ったシナリオが多い、と指摘されたことがある。自覚は充分ある。たぶん、この作品の影響が多いと思う。
敗者だから悪いのか? 負けたから劣っていたと言い切れるのか? 悪いから負けたのか? 劣っていたから負けたのか? いや、そもそも「負け」って何よ? 「勝ち」って何よ?
そんなことを考えていくと、いつのまにか主人公達に感情移入しちゃってるんだよなあ。たぶん俺の中では、「三国志*3とならぶ超リスペクト作品であり続けるだろう。

もし気に入ったら、同じ作者が書いた「火怨」「天を衝く」もどうぞ。

*1:当時はまだ自動車免許を持っていなかった

*2:台詞の?

*3:横山光輝